3.形容詞? 副詞?beautifulの意味は「美しい」。形容詞である。この点は日本語も英語も同じ。 ただし,日本語の形容詞の連用形は,英語では副詞になってしまう。 例えば, 「早い」という意味で用いられるearlyは形容詞 「早く」という意味で用いられるearlyは副詞 である。 be+形容詞の形の命令文をフツーに和訳すると…。 Be beautiful. で,「美しく」なれ。「美しく」は英語では副詞。だったら, Be beautifully. が正しいのではないか? これだと,副詞「美しく」が動詞「なれ」を修飾しているから,まさに副詞の働きじゃないか! 英語の品詞を正しく理解している人でなければ陥らない疑問だ。 結論から言うと,Be beautifully. は正しくない。 2通りの解説を示しておく。 (1)英文を自然な日本語に直してはイケナイ。 私は,英語は英語の語順のまま,文頭から単語の意味だけで理解していくものだと考えている。自然な和訳とは真っ向から対立する。 この場合のbeは「なれ」でよいが,もともとbe動詞は存在を表す。 I am beautiful. で「私は です 美しい」とするが,「『美しい』という状態で『存在してる』」と捉えるべきなのだ。 したがって, Be beautiful. ~になれ 美しい。 「美しい」という状態に「なれ」と言っているわけで,「美しく・存在しろ」とは言っていない。 (2)補語と修飾語 どうしても「美しく・存在しろ」と言いたければ, Exist beautifully. 存在しろ 美しく。 とでもなるのだろう。 一般動詞の後の副詞は,ただの修飾語だが, be動詞の後には,修飾語としての副詞は来れない。 日本語的には,be動詞の後の形容詞が連用修飾(用言,この場合動詞を修飾している)に見えるが,be動詞の後の形容詞は補語といって,動詞の意味の不完全さを補うことばである。 さらに紛らわしいケースに,She looks beautiful. がある。 マトモに和訳すると,「彼女は美しく見える」となり,「アレ? 副詞beautifullyを使った方がいいのでは?」と考えてしまう。 この場合のbeautifulも補語。自動詞look「~に見える」の不完全さを補っているのだ。 残念ながら,副詞は動詞を「飾る」ことはできても,意味を「補う」ことはできない。 主語・動詞・目的語・補語は英文の骨格・血肉であるが,修飾語は完全な「脇役」。「副詞」には「副」の字にふさわしい働きしかできないのだ。 以上,「Mr.kazuの一ファン」というありがたいHNの方のご質問にお答えするために作りました。 確かな英文法の知識がおありなだけに,英文の自然な和訳によるトバッチリを受けられたようです。 なお, >BE動詞の命令文がありますよね。否定の形はDon't be~.の形になりますよね。Don'tを使うということはbeは一般動詞扱いですよね? というスルドイご質問もいただきました。 強調を表す助動詞do(否定形don'tも)は,be動詞・助動詞の区別なく用います。したがって,一般動詞扱いしたのではなく,区別なく扱ったとお考えください。 |